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二〇〇三年の初春号を開くと、パステルのレディス用セーターの次に、メンスのカシミヤージップアップーカーディガンが並ぶ。
こんな風に、高級素材も実用的に仕立てるのがR社流とS・Rは、「カタログ通販はとてもロジカルな世界」と、その方程式を楽しげに語る。
売れ線は一五ページ目までに並べるとか、ユーザーごとの副読ツールの選択や発送タイミングなど、「仕掛ければ仕掛けるほど」リアクションが変化するという。
インタビューも終盤、S・Yは同社の製品を次に取材場所の会議室に持ち込む。
「せっかくですから、ぜひ着ていただきたいと思って」。
私はじゃケット類をいくつか試してみた。
大柄な私は日本製だとLでも小さいことが多いが、袖丈以外はMでもずいぶんゆったり着られる。
仕立ては確かにしっかりしており、ヘビー・デューティなアメカジの醍醐味は味わえた。
確かにU社の台頭以降、私かよく利用するような町のアメカジ屋ほどこも立ち行かなくなり、閉めた店も多い。
そんな中、R社の存在価値も高まっていくのだろう。
日本流通産業新聞のデータによると、二〇〇二年度の売上げは七五億円で、成長率は六六%。
二年前に比べて顧客のリピート率も二〇%ほど増えた。
まず着実な浸透度だ。
さて、今、小学生も高学年になると、「メソピアノ」「ポンポネット」「エンジェルブルー」などの人気ブランドで知られる、ナルミヤーインターナショナルのファッションに身を包むのが、女の子たちのトレンドになっているかのようだ。
それは子供服の常識からすれば驚くほど高価で、親の負担もいくばかりかと心配にもなるが、それらブランドのフラッグショップが集中する東京・渋谷の109は、週末ともなれば、母親の手を引いた女子小学生たちで溢れ返っている。
以前から、F社やM社など子供服の高級ブランドはいくつかあったが、ここまで時代を画すことはなかった。
ゆえに、その勢いに乗じた、この″ローティーン″世代に向けた雑誌や商品も雨後の笥のように現れている。
今後のアパレル通販にとって、こんなおしゃれなジュニア層をどう捉えるかも課題の一つだろう。
私は子供服通販の中堅、ルブランの存在を知り、東京・中野の駅裏の一等地とは言い難い場所にある同社を訪ねた。
子供服を中心に扱う通販会社はそう多くはない。
明治乳業の一〇〇%子会社として一九六六年に創業、育児用品に特化したナイスデイなどは老舗として知られるが、慢性的な売上げ低迷の中、マリーフォーレなど消えていった会社も少なくない。
その中で、一九九三年に設立され、一〇年目を迎えたルブランはかなり健闘している。
そもそも子供服は消耗品の最たるもの。
通販においても、いまだ子供服は使い捨て感覚で、ともかく安さにウェイトが置かれがちだ。
しかし、フランス語で「仔馬」を意味するルブランは、高級ブランドが持つ洗練さを、より低廉な価格帯で追求しようとしており、そこに根強いファンがついている様子だ。
自然体な女性社長ルブランを訪れた私は、そこで働く社員の熱気に圧倒された。
彼らは1フロアにひしめき合うように、受注やカタログのデザインをこなしていた。
道に面したオフィスの一部はショップで、サンプルやアウトレット品を販売している。
通販で同社を知った近所の主婦たちが直接買いにくるのだそうだ。
そこにはなかなか可愛らしい品が揃っていて、私は友人の息子に、と早速一点買い求めた。
「反応を見て追加オーダーをするから。
大手とはロットが違うんで、できるのよ。
生地は中国産が多いけど、少数でもいい品を確保して、縫製メーカーの協力がないととてもやってられないわ」と、ざっくばらんに語るT・Kに、肩で風切る女性経営者のイメージは微塵もない。
業務の実際は取締役の遠山幸子に任せており、自分は「黒子」だと言い切る。
のことはよくわからないし、そりやあ、新しい商品を見て、意見くらい言うけど。
でも、勘は働くほうだから、私のことを人伝てに聞いて売り込みにきた遠山と話して、『この人ならやる』と即断即決。
支援することに決めたの。
私白身がそういう出会いを探っていたし」フツーの人たちの感性を信じてとはいうものの、ルブランはこのT・Kなしでは回らないだろう。
遠山とは取材交渉の際、簡単に話しただけだが、互いがそれをよく承知し合っている間柄に見えた。
取れるのが、私たちの強味でしょうね。
まず六か月から二歳までの乳幼児向けでスタートし、その子供が大きくなって、自然と就学年齢までターゲットが広がったの。
子供たちと一緒に成長してきたようなものね」創業当初は、保守的なアパレル業界の気質に悩まされもした。
素人扱いされ、現金で支払うと言っても、卸を渋られたという。
商品は自ずと見栄えのしないものが集まり、お陰で第一号カタログは大惨敗。
そこで、競合の多いベビー下着を少なめにし、人気が出つつあったバンダナなどカジュアル品にシフトしていった。
加えて、オーガエック、ピーターラビットのブランド品を投人。
また、四〇〇円を別途徴収する会員制を導入し、価格において差をつけ、顧客の固定化を図るなど、コンセプトを明確化していった。
カタログは年二回合計三〇万部の発行ペース(他に年一回程度クリアランスカタログを発行)だが、九五年春夏号で月間売上げ一千万円台に乗り、親子のペアルックや、子供をオーディションでカタログモデルに選ぶなどの顧客参加型提案で、秋冬号では二千万円台にも漕ぎ着けた。
現在の年商は約六億円。
特に宣伝広告はしていないにもかかわらず、年間二万人ほど新規顧客が増え続けている。
バラエティに富んだラインナップを誇るルブランだが、子供を着せ替え人形のように扱う親たちに、T・Kは懐疑的だ。
「定番って今はないからね。
でも、もっと日常的なお洒落感を追求したい。
うちの顧客は二〇代後半から三〇代前半の母親たち、『中の中』という層ね。
彼女たちが歓迎する、目新しくって、生活を楽しく彩れる子供服を手がけていきたいの」易と揺るがない。
子供服・育児用品にはまだまだ可能性が眠っている。
狙いどころは「無理のない高級感」、といったあたりに落ち着きそうだ。
ところは変わって京都。
私は太めの女性に向け、クィーンサイズに特化した品揃えで成長を続けるH通販のユニークな業態転換を大手に聞き、取材に向かった。
H染工という染物業の傍らで誕生したH通販は、一九八七年から福井に拠点を持ち、アルミホイール鍛造や販売会社などで形成される小野グループの一員となって、本格的に通販に乗り出した。
まずは折込みで撒き餌をし、固定客化を睨んでカタログを配布するベルーナこの二年ばかり伸び悩んでいるが、ラージサイズに専念してから数年は二桁成長を続けていた。
副社長のK・Sと営業部長のK・Kに話を聞いてみる。
「最初はごく普通にやっとったんですが、お客様から『サイズがない』という苦情が相次いで、九三年くらいから差別化路線で生き残りを賭けたんですわ。
婦人服はスーツならそれまで七、九、一一号が標準サイズ。
うちは一三号から三一号まで取り揃えてます。
これで注文の七割にはなります。
大手には在庫管理上、難しいんちゃうかな。
特異な客にかまけなくても、十分儲かるやろし(笑)。
ま、人助けですわ」好爺然と語るK・Sは旭化成出身。
″糸へん業界″は知り尽くしている様子だ。
が着たいという人が多く、一〇〇万円以上買う人も相当数いる」というK・K。
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